それは突然やってきた。
親の大学病院での集中治療が終わり、実家近くの病院に転院。
ようやく回復に向かっていると思っていた。
点滴も外れ、退院に向けて順調に進むはずだったが、
3食の食事がほとんどできなくなった。
むしろ前よりカロリーが減り、
もともと痩せていた体は点滴すら刺せないほど激痩せしてしまった。
そして急激にメンタルも崩れた。
「ここで死にたくない、病院を出たい」「家に帰りたい」と繰り返すようになり、支離滅裂なことを口にする。
夜中や早朝にも電話をかけてくるようになり、
家族は「認知症の始まりでは」と恐怖を感じた。
電話に出られない時に限って、鬼のようにかけてくる。
まるで精神が崩壊していっているように見えた。
けれど病院スタッフは落ち着いた対応で、言ってみれば「老人あるある」らしい。
主治医も「栄養が取れるようになれば回復に向かうだろう」とのことだった。
鎖骨や太ももの付け根など、大きな血管に直接入れる中心静脈カテーテル点滴に切り替え、高カロリーを補給。
さらに、本人が「病院食が味気なくて食欲がない」と言うので、
市販の介護食を持ち込みたいとお願いしてみた。
なんとか許可をもらえたので、キューピーの介護食シリーズの鯛雑炊などを差し入れ、工夫して試していった。
その結果、1週間ほどで食欲が戻り、精神的にも落ち着いた。
肌のつやも良くなり、リハビリも再開。
再び退院を目指せるようになった。
老人性うつと認知症の違い
このときの父の様子は、あとから考えると「認知症」ではなく「老人性うつ」に近かったと思う。
- 進行の速さ
数日〜数週間で急に悪化するなら「うつ」の可能性が高い。
認知症は数年単位でゆっくり進む。 - 記憶障害の質
うつでは「思い出そうとする努力」がある。集中できず覚えられない状態。
認知症では「記憶そのものが抜け落ちる」。ヒントを出しても思い出せない。 - 病識(自分で自覚できるか)
うつの人は「自分がダメになっている」と強い不安を訴える。
認知症が進むと、本人の認識が薄れて不安をあまり感じない。
老人性うつと認知症は別の病気だが、両方が同時に進むこともある。
治療と支え方
- 老人性うつ
抗うつ薬や心理療法で改善が期待できる。 - 認知症
進行を遅らせる薬と環境調整が中心。
「病気そのものに効く薬よりも、孤独を減らすことが生活の質を守る」という話も読んだ。でも実際に家族としてはどう対応すればいいのか分からず、焦ってしまう。
「帰りたい、ここで死にたくない」と繰り返され、
最初は正面から「今つらいかもしれないけど踏ん張りどころ」と訴えた。
けれど「頑張っている人に頑張れと言ってはいけない」という言葉が頭をよぎり、じゃあ何と言えばいいのかと困った。
結局は一度話を聞いてから、
むりやり話題を変えたり流したりする作戦にした。
幸い、今回は1週間ほどで体調と一緒にメンタルも回復したから、
なんとか乗り切れた。
けれど今後に備えて、もっと知識を入れておきたいと思う。
心の支え
もともとYouTubeで好きだったカータン。
この何年も動画の更新がないと思ったら、介護生活に入っていたと知った。この漫画も参考になったし、何より自分だけじゃないと思えてパワーをもらった。
やっぱり、他の人の経験を知ることは心の拠り所になる。
カータンの動画、何度見ても好きだわ♡
※後日、親の症状は「せん妄」であることがわかりました。
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