親本人は指折り数えて退院日を待ち望んでいた。
だが実際の体調は良くない。
熱が出て、起きているのも辛くリハビリができない。
その結果、さらに歩けなくなり、
立ち上がることすら困難な状態に陥っていた。
1週間前までは悪い状況ではなく、
歩行器を使って10mほど歩く練習をしていたし、立ち上がることもできた。少しリハビリを続けて回復していけば
自分でトイレへ行くこともできると家族は思っていた。
だが1週間で急に状況が悪化。
私を含む周囲は不安しかなかったが、本人の強い希望で退院を決行することになった。
(写真は、退院前日に車椅子への移動方法をご指導頂いている所。
だが当日はそれすら難しい状態に・・)
いざ車椅子に乗ろうとしたその時、失禁。目の前が真っ暗に。
起き上がっては「辛い」と言ってベッドに戻る。
退院予定時刻から1時間が過ぎた頃、看護師と協力してやっとの思いで車椅子に乗せた。
だが、帰宅後に介護ベッドまでどう運べばいいのか見当もつかない。
それでも、もう行くしかなかった。
玄関には手すり付きの介護ステップを設置していた。
しかしそれが全く役に立たないほど体を支えられず、
玄関で倒れ込みそうになった。
今となってはどうやったのか自分でもわからないが、
私がスライディングして、親に頭を打たせることなく上り框の上に乗せた。そしてしばらくうつ伏せのまま倒れ込んでいた。
「動けない、引きずっていってくれー!」と言われたが、
それが難しいんだよ、と。
とりあえず何とか転がして仰向けにし、
肩を持って引きずろうとしたが
重くてなかなか進まない。
膝掛けの布を体の下に潜り込ませ、
その布を引っ張ることでようやく移動に成功。
なんとかベッド横までたどり着いた。
次の問題は、どうやってベッドの上に乗せるかだ。
ベッドの手すりをつかまりやすい角度に調整し、
両手でなんとか持ってもらって、
えいやっと押し上げてベッドの上に転がり上がることができた。
だがその時、ものすごい異臭がした。
おむつから漏れて寝巻きも汚れている。
初日から非常に難易度の高い対応を迫られた。
母がメインでおむつ交換を習っていたが、
寝巻きにまで広がった場合の処理は教わっていなかった。
母とふたりで、もうやるしかなかった。
半べそだった。
幸い、布シーツの上に使い捨てシーツパッドを敷いていたので、
寝具は汚れずに済んだ。
よくわからないながらネット検索して買っておいた物が、早速役に立った。
種類が多くて迷ったが、色々試して良かった物を今後まとめていきたい。
これから一体どうなるんだろう・・
想像以上に過酷な在宅介護デビューになってしまい
放心状態で昼ごはんを食べた。
味を感じられず、ため息が何度も出た。
午後からは、介護担当者が合計8名も家に訪れ会議をする予定。
8人も居間に入らないのでどうするんだろう・・・と思いながらも
もうやるしかなかった。
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